社会的痛みにdACCが重要な働きを担っていることは一連の研究から明らかである。彼らの予測通り、身体的痛みと社会的痛みがその処理機構を共有しているのであれば、その感受性にも関連がみられるはずである。Eisenberger et al.(2006)が皮膚温熱刺激に対する痛みと社会的痛みの感受性に関して報告している。彼らは実験参加者にまず皮膚温熱刺激を与え、それに対する不快感の閾値を測定し、その後サイバーボール課題で社会的排斥に対する不快さを測定した。相関解析を行ったところ、身体的痛みの不快感の閾値が小さい、つまり身体的痛みを感じやすい個人ほど、キャッチボールでの排斥に対して強い社会的痛みを感じたことが示された。この知見は慢性疼痛患者を対象とした知見からも支持される。慢性疼痛患者は健常人と比較し、恐れ型の愛着スタイルをもつことが多く(Ciechanowski et al., 2003)、社会的評価や拒絶に対する恐れが強い(Asmundson et al., 1996)。この行動実験や臨床実験は身体的・社会的痛みがその神経基盤を共有していることを暗示している。
Eisenberger NI, Jarcho JM, Lieberman MD, Naliboff BD (2006) An experimental study of shared sensitivity to physical pain and social rejection. Pain 126:132-138.
Ciechanowski P, Sullivan M, Jensen M, Romano J, Summers H. (2003) The relationship of attachment style to depression, catastrophizing and health care utilization in patients with chronic pain. Pain. 104(3):627-37.
Asmundson GJ, Norton GR, Jacobson SJ. (1996) Social, blood/injury, and agoraphobic fears in patients with physically unexplained chronic pain: are they clinically significant? Anxiety. 2(1):28-33.
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