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2010-02-21

前帯状回の解剖と機能

 ACCは左右の皮質をつなぐ脳梁の周辺を取り巻く皮質構造の前半分で、ブロードマン領域BAの24・32・33に相当する。さらにACCは機能的に背側部(dACC)と腹側部(ventral ACC: vACC、もしくはsubgenual ACC: sgACC)に分類される。また背側と腹側の中間でくちばしのように曲がっている領域を吻側部(rostral ACC: rACC)と呼ぶこともある。ACCの皮質構造は、視床からの入力を受ける第4層(内顆粒細胞層)が欠落し、多様な皮質及び皮質下構造への出力を含む第5層(内錐体細胞層)が特に発達している(Allman, 1998)。
 
 一部のブロードマン領域24の第5層には巨大な錐体細胞が存在し(Nimchinsky et al, 1999)、発見者の名を取りフォン・エコノモ神経細胞(von economo neuron: VEN)と呼ばれている。VENは長距離の投射をもつようであるが、その正確な結合の分布はいまだに明らかになっていない。VENはヒトや高度な社会的動物(類人猿や象、鯨)にだけにしか見つかっておらず、社会的・感情的認知、意識、直感などのヒトの高次な認知機能に関与している可能性が示唆されている(Allman et al., 2005)。社会的痛みに関する知見は、下等哺乳類から蓄積されている。VENが下等哺乳類にも存在するとの報告はなく、VENが社会的痛みに関与するかどうかは慎重に議論する必要がある。


Allman, J.M.1998 Evolving Brains. W.H. Freeman. New York
Nimchinsky et al., 1999 A neuronal morphologic type unique to humans and great apes. PNAS, 96:5077-5082.
Allman JM, Watson KK, Tetreault NA, Hakeem AY. Intuition and autism: a possible role for Von Economo neurons. Trends Cogn Sci. 2005 Aug;9(8):367-73.

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