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2010-03-19

スモールワールドネットワークメモ

グラフ理論を脳活動の時系列データに応用すると、脳もスモールネットワーク的な性質を持つことが示される。
グラフ理論では、ネットワークをその要素(ノード)の集合とそのノードを相互結合している結合(エッジ)によって構成する。
ボクセルやROIがノード、それらの有意な相関がエッジとなる。
スモールワールドネットワークは高いクラスタリング性とノード間の平均距離が短いことに特徴がある。

解析の基本的な流れ
1.ノードごとの時系列データをSPM等で抽出
2.ノイズ除去のため、バンドバスフィルタを適用
3.各ノード対ごとに相関係数を算出
4.相関係数が基準値以上のものをエッジと決定
5.こうして作成されたネットワークからクラスタリング係数や最小パス長などを算出
6.これらの指標をランダムネットワークの同指標によって標準化
7.このクラスタリング係数の比を最小パス長の比で割った値がスモールワールド性σ
8.基準値を変更して4~7を繰り返し

クラスタリング係数
ある特定のノードに結合しているノード同士の結合率。
そのノード同士の実際のエッジ数をその最大エッジ数で割った値。
この値が高いほど、脳はよりクラスリングされていることになる。
この指標はランダムネットワークよりもスモールワールドネットワークで高くなる。

最小パス長
ノード間の最小パス長は、あるノードから別なノードまで何ステップで到達できるかを表している。
少ないほどネットワークとして効率的である。
この指標はランダムネットワークとスモールネットワークで差がない。

べき乗法則スケーリング
またスモールワールドネットワークの特徴としてべき乗法則スケーリングがある。
これは多くのノードは少ないエッジをもつが、ハブノードとよばれる数少ないノードが大きな数のエッジをもっていることを示す。
ランダムネットワークはノードは平均的なエッジをもつ。

これらのスモールワールド性の指標は、統合失調症などの疾患や神経伝達物質の操作によって低下することが報告されている。

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