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2013-04-02

分散分析後の下位検定


http://www.ibaraki-kodomo.com/toukei/posthoc.html
いい解説を見つけたので記録がてら残しておく。
以下は自分に必要になりそうな部分だけ引用。
自分用メモのため,参考にする場合には上記HPを参照のこと。

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5)多重比較を行う前には分散分析が必要か
 「分散分析の帰無仮説は”各群の平均値は全て等しい”であり、どの群とどの群に差があるかは、多重比較を行わなければならない」というのはある意味で正しいが、「多重比較の前には分散分析を行わなければならない」は必ずしも正しくない。
 一元配置分散分析はF統計量を用いているので、同時に多重比較を行うにはF統計量を用いた多重比較を行う必要がある。そうでないと、また検定の多重性が問題となってしまうのである。つまり、ANOVAでは有意差はなかったが、多重比較では有意差が出るケースが出てくる。F検定量を用いた多重比較には、Fisher PLSD,Scheffe,Games/Howellがある。F検定量を用いていない多重比較には、Tukey-kramer,Bonferrani/Dunn,Dunnetなどがある。これらは、分散分析を併用しない。
 統計の参考書には、多群の検定はANOVAを使用し、有意差があれば多重比較を行うように書かれていることが多い。しかし、多群のうち2群間には差があるがその他はほぼ一様でANOVAをおこなうと有意差なしとなってしまうこともある。この場合その2群間の差に注目したくても無視されてしまう。この場合最初からTukey法やDunnett法を用いれば有意差が検出できる。つまり、ANOVAは状況によりかなり保守的となってしまうので、ある群間に注目するならばANOVAは用いず最初から多重比較(Tukey法、Dunnett法、Bonferroni法など)を適用した方がよい。

7)どの多重比較を使用すべきか
 多重比較の種類は多く、どれを使用したらよいか難しいところであるが、これは専門家でも意見が統一されていないように思われる。そもそも、多重比較についてはまだまだ研究の余地がある分野のようである。
 多くの中からどれを選択すべきかといっても、統計パッケージの中にあるものしか使えない者はほとんどであろうから、その中から状況にあったものを選択することになる。
有名なものは以下に記載した。
・Fisher's PLSD法、Scheffeの方法は分散分析と併用してよい(分散分析後に用いる)。
・Bonferroni法は簡便であり、かなり応用がきくが検定数が増えると有意差が出にくくなる。
・正規分布しているならば、すべての対比較をするTukey法の方が検出力がよくなる。
・コントロール群と実験群との比較にはDunnett法が有意差が出やすい。
・群間に順位が想定できればWilliams法。
・Duncan法、Student-Newman-Keuls法は用いるべきではない。

8)主な多重比較
1)Fisher's PLSD法
 ・F検定量を用いている。分散分析で有意な場合に用いる。
 ・有意差が出やすい(αエラー増大)
 ・各群のデータ数、分散が等しいことが仮定(データ数が等しくなくても使えるように汎用性を持たせたものもある)
 ・4群以上では使用してはいけない.
2)Scheffeの方法(シェフェ)
 ・有意差が出にくい
 ・適応範囲が広い
 ・各群のデータ数の均一性などの制限がない。正規性は必要。
 ・多群間のANOVAで変動が有意であった場合(F検定量を用いている)。逆にいうとScheffe 法で有意差が出ると一元配置分散分析でも有意差が出る。
3)Bonferroni 法(ボンフェローニ)
 ・検定全体の有意水準を検定数で割った値を有意水準とする
  (例えば、群数が3つの場合には3組の検定を行うので0.05/3=0.016を有意水準とする)
 ・ANOVAで有意差がなくても検定できる(併用すると多重性が問題?)
 ・5つ以上の群にこの手法は用いない方がよい(多すぎると検出力が極端に落ちる)
4)Dunnett法(ダネット)
 ・コントロール群と実験群の間の多重比較法(経時的に個体を追って測定したデータには適応困難との指摘もある)
 ・正規性が必要。データ数は不一致でもよい。
 ・群間に順位が想定できればWilliams法を用いること
5)Williams法
 ・正規性、等分散性、データ数一致
 ・群の母平均値に順番が想定可能な場合(例えば、ある薬物の効果判定でコントロール群と、1から3群までに用量を順次増加させて投与した場合)
6)Tukey-Kramer法(テュキー・クレーマー)
 ・全ての群間の対比較
 ・等分散性、正規性が必要であるが、データ数は不一致でもよい(Tukey法はデータ数一致が必要)。
 ・検出力が高く、有意差がでやすい。
7)Games/Howell 法(ゲイムスーハウエル)
 ・F検定量を使用
 ・正規性、データ数一致、等分散性など制約がなく非常に頑健(Stat Viewでは特定の手法を望むのでなければ、この方法が有用という)。
*Dunnett法とWilliams法の違い
たとえば、高血圧患者にA,B,Cの3種の薬剤を投与し血圧の変化を、コントロールと比較する場合には Dunnett法を用いるが、ある薬剤
の投与量を3段階(低用量、中用量、高用量)に分けて投与する場合には、Williams法を適応する。Williams法は用量反応関係に単調性が
期待できる場合には、Dunnett法に比べ検出力がよくなる。

<ノンパラメトリック法>
ノンパラメトリックの多重比較法はあまりみかけないが、必要な場面が結構ある。Tukey法、Dunnett法、Williams法に相当するノンパラメトリック法がある。


パラメトリック法ノンパラメトリック法
DunnettSteel
TukeySteel-Dwass
WilliamsShirley-Williams

なお、少数例(1群5例以下)のデータにはノンパラメトリック法は使用しない。同順位がなければ各群のサンプルサイズ10以上必要ともいわれている。同順位がある場合には、より多いサンプルが必要になる。
ノンパラメトリック法では、サンプルサイズが少ないと有意差がでにくくなる。。
ノンパラメトリック法で対比較を行い、Bonferroni法を適応することもできる。Bonferroni法は、有意水準を補正するだけなので、Mann-Whiteney検定などで有意水準を0.05/(比較する数)に変更すればよいから簡単である。しかし、比較する数が多くなりすぎると有意差が出にくくなるので4組くらいまでが限界であろう。
「Keyplot」は数少ない、多重比較のノンパラメトリック法を使用できるソフトである。

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