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2012-10-24

FWE補正

懐かしい資料を発掘したので掲載。

脳機能解析ではボクセルごとに検定を繰り返すため、タイプ1エラーが増大する。0.05の有意基準で10000ボクセルの検定を行った場合、500個ものタイプ1エラーが出現することになる。タイプ1エラーを防ぐため、ボクセル数で補正しなければならい。 

Bonferroniの補正

 この補正は単純に検定の繰り返し回数で基準のP値を割り算すると考えてよい。10000ボクセルのt検定を行う場合、0.05/10000=0.000005が基準となる。しかし、脳機能解析においてこの基準は厳しすぎる。脳機能的に隣のボクセルとは高い相関を持つので、ボクセルよりもより少ない独立した容量の値で検定を行う方が望ましい。

 図上は128×128のマトリックスにおけるZスコアを示している。16,384ボクセルあるので、Bonferroniの補正後の有意基準は0.05/016,384=0.0000030518となる。これでは非常に厳しいので、実用的ではない。
 図下は左図の8×8のマスごとに平均値を出して表示したもの。これで考えるとBonferroni補正後の有意基準は0.05/(16*16)=0.00019531となり、だいぶ緩和される。fMRIのデータは隣のボクセルと高い相関を持つので、独立したボクセル群の数で補正してやればよい。

Random Field Theory (RFT)  

 RFTはスムージングされた統計的マップにおける数学的に定義された理論的結果を意味するらしい。もう少し具体的にいうとスムージングされた統計値マップにおいて、期待されるオイラー標数(Euler characteristic: EC)を求めることらしい。
  まず得られたZ値の分布をスムージングする。これが上の図。ここではFWHM8pixelsとした。この図において、Z値の基準をいろいろ動かして、その際に有意なpixel群の数を数える。

   図上はZ>2.75のピクセルを白、Z値が2.75以下のピクセルを黒で示している。この場合のオイラー標数ECは2となる。さらにZの閾値を上げて3.5にするとオイラー標数ECは1となった。このようにZの閾値を上げるとオイラー標数ECは少なくなる。これをランダムなフィールドで繰り返したとき、ECの期待値が0.05以下となるようなZ値が有意基準となる。これがSPMにおけるFWEに相当する。ECの期待値はFWHMとボクセル数に依存する。  
とはいいつつも、FWEも十分厳しい。タイプ1エラーを厳しくするあまり、タイプ2エラーの増大をまねく危険はある。それを考慮したのがFDR。  手続き的には簡単。まず得られたP値を小さい順に並べ直す。そのときPk<αk/Nとなるkを見つけてそこまでが有意ですよってことらしい。このやり方だとタイプ2エラーの増大は防げる。当然、タイプ1エラーは緩くなるので注意が必要。



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