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2010-06-30

成人における愛着の不安定性と海馬細胞密度

Adult attachment insecurity and hippocampal cell density.
Soc Cogn Affect Neurosci. 2010 Mar;5(1):39-47
Authors: Quirin M, Gillath O, Pruessner JC, Eggert LD

愛着不安や回避の程度として評価される愛着不安定性は感情制御機能の低下と関連しているらしい。感情制御には海馬機能と構造の関連が示されている。愛着不安定性を示すうつとかPTSDでは海馬細胞密度が低下することが知られている。というわけで若年健常成人の愛着不安定性と海馬細胞密度を調べた研究(MRI-T1画像)。愛着回避は両側の海馬減少と関連したが,愛着不安は左海馬の細胞減少と関連。わかりやすい。

2010-06-28

DPARSF: 安静時fMRIの”パイプライン”データ解析におけるマットラボツールボックス

DPARSF: A MATLAB Toolbox for "Pipeline" Data Analysis of Resting-State fMRI.
Front Syst Neurosci. 2010;4:13
Authors: Chao-Gan Y, Yu-Feng Z

DPARSFの紹介論文。便利だけど,もう少し個別のデータを簡単に逐次処理できるようにGUIを改善してほしい。

2010-06-25

安静時fMRIの機能的結合の個人差は課題で惹起されたBOLD活動を予測する

Inter-individual differences in resting-state functional connectivity predict task-induced BOLD activity.
Neuroimage. 2010 May 1;50(4):1690-701
Authors: Mennes M, Kelly C, Zuo XN, Di Martino A, Biswal BB, Castellanos FX, Milham MP

フランカー課題の脳活動と安静時fMRIの機能的結合が比較検討されている。課題で誘発された領域のBOLD活動とポジティブな機能的結合に関連あり,また,デフォルトモードネットワークとネガティブな結合を示した。安静時の結合性から課題時の活動を予測できるとの根拠になる知見。

2010-06-24

ウェルニッケ脳症におけるチアミン補充療法の乳頭体視床路の機能的結合の回復

Restoration of mammillothalamic functional connectivity through thiamine replacement therapy in Wernicke's encephalopathy.
Neurosci Lett. 2010 May 31;
Authors: Kim E, Ku J, Jung YC, Lee H, Kim SI, Kim JJ, Namkoong K, Song DH

mammillothalamicは乳頭体視床路。アブストだけではよくわからず。

2010-06-23

アルコール依存における前頭前野は報酬予測誤差による学習に失敗する

Prefrontal cortex fails to learn from reward prediction errors in alcohol dependence.
J Neurosci. 2010 Jun 2;30(22):7749-53
Authors: Park SQ, Kahnt T, Beck A, Cohen MX, Dolan RJ, Wrase J, Heinz A

ギャンブリング課題において,腹側線条体が予測誤差に関連するのは,健常群でもアルコール中毒でも同じ。しかし,そこをシードとしたPPI解析では前頭前野との結合性に差が認められている。予測誤差を用いた学習には前頭前野の適切な関与が必要っぽい。

2010-06-21

パーキンソン病における共有振幅と結合性の補償的メカニズム

Joint amplitude and connectivity compensatory mechanisms in Parkinson's disease.
Neuroscience. 2010 Apr 14;166(4):1110-8
Authors: Palmer SJ, Li J, Wang ZJ, McKeown MJ

パーキンソン病におけるcerebello-thalamo-cortical回路は,基底核回路の障害を補償するようにように機能しているらしい。

2010-06-18

自尊心に対するプライミングは自身のパフォーマンスモニタリングに影響する

Priming for self-esteem influences the monitoring of one's own performance.
Soc Cogn Affect Neurosci. 2010 Jun 15;
Authors: Bengtsson SL, Dolan RJ, Passingham RE

社会的手がかりは,ときに自覚無しに強い効果をもつ。一つの説明として,特性に関連した暗黙的プライミングがある。暗黙的にCleverとStupidにプライミングを行うと,エラーモニタリング(N-back課題)におけるACCの活動はクレバー条件で強く,Cleverではより強く,Stupidではより弱くなっていたと。そのACCの違いはどこが制御しているのかまで語ってくれるとなお良いのですが。

2010-06-17

アルツハイマー病の検出における安静時fMRIデフォルトモードネットワークの診断パワ

Diagnostic power of default mode network resting state fMRI in the detection of Alzheimer's disease.
Neurobiol Aging. 2010 Jun 10;
Authors: Koch W, Teipel S, Mueller S, Benninghoff J, Wagner M, Bokde AL, Hampel H, Coates U, Reiser M, Meindl T

健常人とMCI,ADでVOIベースの時系列データ評価(?)とICAを比較。ICAのDMNのデータの診断パワ(正確性)は64%,二つのDMNの時系列相関では71%。両方を用いた重回帰モデルだと97%らしい。この辺の研究が進むと,神経疾患患者を対象とした課題特異的なfMRI研究は縮小まっしぐらの予感。

鎮痛剤は社会的痛みを減弱させる:行動的・神経的知見

Acetaminophen Reduces Social Pain: Behavioral and Neural Evidence.
Psychol Sci. 2010 Jun 14;
Authors: Dewall CN, Macdonald G, Webster GD, Masten CL, Baumeister RF, Powell C, Combs D, Schurtz DR, Stillman TF, Tice DM, Eisenberger NI

よく見るお名前がちらほら。
アセトアミノフェンは鎮痛剤のひとつで,抹消ではなく中枢系にはたきかける。参加者はアセトアミノフェンかプラシーボを三週間飲んだ。アセトアミノフェンは日常の社会的痛みの報告を現象させている。さらにfMRI実験では,社会的痛み関連領域の活動をアセトアミノフェンが低下させている。中枢系に効く鎮痛剤は行動的にも神経的にも排斥による社会的痛みを減じることから,やっぱり身体的痛みと社会的痛みは相当にオーバーラップしているよとのご考察。

2010-06-16

報酬予測誤差における青年期特有の反応

A unique adolescent response to reward prediction errors.
Nat Neurosci. 2010 Jun;13(6):669-71
Authors: Cohen JR, Asarnow RF, Sabb FW, Bilder RM, Bookheimer SY, Knowlton BJ, Poldrack RA

青年期では,予測誤差信号は線条体に位置していたが,decision valueはモデルに依存して変わる模様。

2010-06-14

ゆっくりとした脳波パターンはデフォルトモードネットワークにおける内的機能的結合の低下を予測する:被験者内解析

Slow EEG pattern predicts reduced intrinsic functional connectivity in the default mode network: An inter-subject analysis.
Neuroimage. 2010 Jun 7;
Authors: Hlinka J, Alexakis C, Diukova A, Liddle PF, Auer DP

ある特定の脳波バンドパワが機能的結合に関与するのではとの著者達の仮説。脳波パワはDMNの機能的結合の分散の70%を説明できている。δ(r=-0.73)とβ(r=0.53)で有意な関連。δが増えて,βパワが低下するほど,DMNの機能的結合は低下しているらしい。

2010-06-11

ヒト報酬系のドーパミン調整:プラシーボ統制されたドーパミン欠乏のfMRI研究

Dopaminergic modulation of the human reward system: a placebo-controlled dopamine depletion fMRI study.
J Psychopharmacol. 2010 Jun 8;
Authors: da Silva Alves F, Schmitz N, Figee M, Abeling N, Hasler G, van der Meer J, Nederveen A, de Haan L, Linszen D, van Amelsvoort T

ドーパミン欠乏でfMRI.プラシーボでは,報酬予期においてcaudateとcingulateが賦活。欠乏時には,報酬や損失の予期において有意な活動が認められないが,直接比較ではinsula,左frontal,右parietal,cingulateにおいて報酬予期>損失予期。欠乏と統制を比較すると,報酬予期においてcigulateが,損失の予期に対してMPFCが欠乏条件で低下。報酬予期におけるドーパミン欠乏は基底核だけでなく帯状回にも影響が出る模様。

2010-06-10

fMRIが使える理由

Global and local fMRI signals driven by neurons defined optogenetically by type and wiring
Lee JH, Durand R, Gradinaru V, Zhang F, Goshen I, Kim DS, Fenno LE, Ramakrishnan C, Deisseroth K.
Nature 465 (7299), Jun 2010

機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)は、特定の作業や行動の際に脳のどの領域が活動しているかを調べるのに広く使われている。だが、fMRI法で検出する BOLD(血中酸素濃度依存的)シグナルの発生源や解釈については、いろいろと論争が続いている。今回、fMRIと光遺伝学とを組み合わせて用いることにより、ラットの脳の一群の興奮性ニューロンがBOLDシグナルの発生源となっていることが同定された。
ネイチャーのHPより

私について考えるときとあなたをまねるとき: 内側前頭前野吻側部と自己関連処理

When I think about me and simulate you: medial rostral prefrontal cortex and self-referential processes.
Neuroimage. 2010 Apr 15;50(3):1340-9
Authors: Benoit RG, Gilbert SJ, Volle E, Burgess PW

内側前頭前野吻側部(MRPFC)は自己関連処理と他者についての思考の双方に関与。この研究では,MRPFCは他者が自己とどの程度類似しているかの程度を評価するプロセスに関与するとの仮説にてfMRI実験を行っている。実際にMRPFCは,評価対象者が類似していていると知覚されるときほど活動が大きく成っており,有意な相関が示された。要するに,自己との類似性が高いほど活動するので,当然自己が一番高い賦活を示すことになるって寸法か。

2010-06-09

女性における社会的感情処理:スクリプト駆動の想像に関するfMRI研究

Neuroimaging social emotional processing in women: fMRI study of script-driven imagery.
Soc Cogn Affect Neurosci. 2010 Jun 4;
Authors: Frewen PA, Dozois DJ, Neufeld RW, Densmore M, Stevens TK, Lanius RA

スクリプトによって駆動される社会的,非社会的な感情処理を比較している。DMPFCやPCC,TP,TPJ,AMGなどの社会的,自己関連処理に関する脳領域が社会的感情処理に対応して賦活していた。さらにそれらの賦活はネガティブな感情処理の方がより顕著。また,それらの領域の活動における社会的感情処理の影響はポジティブ条件で増加。なんで女性だけ?

2010-06-07

人種差別へのネガティブな社会的扱いに関するfMRI研究

An fMRI Investigation of Attributing Negative Social Treatment to Racial Discrimination.
J Cogn Neurosci. 2010 Jun 3;
Authors: Masten CL, Telzer EH, Eisenberger NI

人種差別を受けたと感じたときにどのような神経反応が起こっているかfMRIにて検討してる。人種差別はほとんどが加害者側の視点からの検討だったが,差別される側の検討は今までなかったらしい。黒人を対象に,白人からあからさまに排斥されたときの脳活動を測定している。社会的痛みに関連したネットワークの賦活が認められている。さらに,人種差別を排斥の理由として考える人ほど,社会的痛み関連領域の賦活は小さかった。人種差別されないはずと思っている人ほど,実際に他人種から排斥されるとより痛いらしい。

2010-06-05

コカイン中毒の中脳ドーパミン系における破壊された機能的結合

Disrupted functional connectivity with dopaminergic midbrain in cocaine abusers.
PLoS One. 2010;5(5):e10815
Authors: Tomasi D, Volkow ND, Wang R, Carrillo JH, Maloney T, Alia-Klein N, Woicik PA, Telang F, Goldstein RZ

注意持続課題における中脳の機能的結合をコカイン中毒患者で検討。中毒患者では,健常者と比較し,中脳と視床,小脳,前帯状回との機能的結合が低下していた模様。さもありなん。

2010-06-04

異なる神経ネットワークが環境と自己への認識を仲介している

Two Distinct Neuronal Networks Mediate the Awareness of Environment and of Self.
J Cogn Neurosci. 2010 Jun 1;
Authors: Vanhaudenhuyse A, Demertzi A, Schabus M, Noirhomme Q, Bredart S, Boly M, Phillips C, Soddu A, Luxen A, Moonen G, Laureys S

外側前頭-頭頂領域が関わる外的システムと内側前頭-頭頂領域が関わる内的システムを分離した研究。外的,内的な認識に関わるシステム間にはanticorrelationが認められている。DMNは内的な認識の程度と関連する一方,外側前頭-頭頂皮質は外的な認識の程度と関連。

2010-06-03

状態対報酬: モデルベースとモデルフリーの強化学習に基づく分離された神経予測誤差信号

States versus Rewards: Dissociable Neural Prediction Error Signals Underlying Model-Based and Model-Free Reinforcement Learning.
Neuron. 2010 May 27;66(4):585-595
Authors: Gläscher J, Daw N, Dayan P, O'Doherty JP

モデルベースとモデルフリーな強化学習を比較。いまいち違いがピンとこない。状態的予測誤差にはLPFCとvSTRが関与してる模様。よくわからず。

2010-06-02

α波の異なる状態に対する血流動態反応性と機能的結合

Reactivity of hemodynamic responses and functional connectivity to different states of alpha synchrony: A concurrent EEG-fMRI study.
Neuroimage. 2010 May 24;
Authors: Wu L, Eichele T, Calhoun VD

後頭のαパワ変動を畳み込みの参照関数としてICAをかけたfMRIデータとの関連を検討している模様。さらに,コンポーネント間の機能的結合も算出。閉眼時には広いα関連血流動態と高い機能的結合が観られたが,開眼時にはこれらは低下。α活動は,血流動態に加え,機能的結合にも関連があるらしい。